“らしさ”を問い直す、新しいブランドの形
地域や企業の魅力を引き出すうえで、以下の2つのコンセプトを重要な視点として掲げ、今後積極的に推進していきたいと考えています。一見すると相反するようにも思えるこれらの考え方ですが、実は共存し合い、相乗的に価値を高める関係にあります。ここでは、それぞれの意義と両立の可能性について考え、地域や企業の魅力を再発見する鍵としてご紹介いたします。
● 重要な視点
❶【脱ステレオタイプス】
「こうあるべき」「〇〇らしい」に縛られない、今の時代に響く語り直しを
地域や企業が持つイメージは、しばしば“よくある印象”に縛られがちです。たとえば「農村=高齢化」「老舗企業=時代遅れ」といった固定観念は、実際の価値を覆い隠してしまいます。私たちは、そうしたステレオタイプ(型通りのイメージ)を脱却し、「今ここにあるリアルな価値」や「未来に向けた可能性」に光を当てます。
つまり、「伝統」や「地域らしさ」を捨てるのではなく、“表現の方法”や“語る視点”を更新するのです。
❷【懐かしのブランド資産を再活用】
「あの頃の記憶と誇りは、今こそ再起動のチャンス」
地域や企業には、長年にわたり培われてきた「思い出」「風景」「商品デザイン」など、感情に訴える資産が多く存在します。これを単なる「昔話」として葬るのではなく、“ブランドの原点”として再発見し、リブランディングや商品開発に活用することが、現代のマーケティングにおいて強い武器となります。
これは、古い価値の「復刻」ではなく、“再構築”や“再文脈化”によって、新たな意味を与える取り組みです。
● 一見、矛盾に見えますが、実は補完関係にある理由
脱ステレオタイプス | 懐かしのブランド資産 |
---|---|
固定観念を壊す | 記憶の力を活かす |
過去から自由になる | 過去を再解釈する |
新しい文脈を創造 | 昔の文脈に新しい意味を与える |
このように、「壊すこと」と「活かすこと」は対立ではなく、“どの視点から語るか”の違いです。どちらか一方だけでは不十分であり、両者をバランスよく行うことこそが、ブランドに深みを与えるのです。
● たとえば、こんなプロジェクトに応用できます
- 地元企業の思い出のあるパッケージを“レトロ未来風”にアレンジし、若者向け新商品に展開(❷)
→ その際、単に「昔はよかった」に頼るのではなく、「今のライフスタイルにどう合うか」を問い直す(❶) - 地域の“観光名所”ではなく、地元の人が大切にしてきた“当たり前の風景”をフィーチャー(❶)
→ その中に写り込む昔ながらの景色や町並みをブランドアイコンに昇華(❷)
● キーワードは、「再編集力」
この2つのコンセプトを融合させる力は、「破壊」でも「模倣」でもなく、“再編集”です。
記憶や物語、価値観を、新しいレンズで見直し、次世代(新たな読者)に届ける。それが、私たちが目指すマーケティングの形です。
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